所得税法上の扶養親族とは?配偶者や子供の年齢・収入や年金や別居は
所得税は、1月から12月までの年収に対して課税されます。
そして、この所得税に関しては、年収が多ければ多いほど、課税金額が多くなっていきますよね。
しかし、所得控除の制度があるため、それらに該当する場合には、課税対象額がその分、低くなります。
この所得控除の制度には、14種類もあり、非常にややこしいものとなっています。
そのなかでも、扶養控除というものがあるのですが、この扶養控除というのは、扶養親族がいる場合に、対象となる制度となっています。
この所得税法上の扶養親族とは、誰が対象となるのかというのも、何となくはわかっているかもしれませんが、くわしくは理解できていないという人も多いのではないかと思います。
そこで、ここでは、所得税法上の扶養親族とはどのような範囲になるのかについて見ていきたいと思います。
目次
所得税法上の扶養親族とは?
扶養親族とは、社会保険上と所得税法上では対象の範囲の考え方が異なります。
そのため、子供だけでなく、配偶者も含まれるのかどうかや、年金暮らしの両親は含まれるのかであったり、子供の年齢や同居・別居の場合などの考え方が非常にややこしくなっています。
所得税法上の扶養親族とは以下となります。
- 配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族をいいます。)又は都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること。
- 納税者と生計を一にしていること。
- 年間の合計所得金額が48万円以下であること。(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
- 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと
(国税庁より)
それぞれについてくわしくみていきたいと思います。
1.配偶者以外の親族
1には、配偶者以外の親族とあります。
このように、所得税法上においては、扶養親族は配偶者以外となります。
その代わり、配偶者には、配偶者控除と配偶者特別控除の制度があります。
2.納税者と生計を一にしていること
「生計を一にしている」とは、同居している必要があるという意味ではありません。
大学生で一人暮らしをしている場合でも、生活費や学費を支払っているのであれば、扶養親族と認められます。
また、両親に生活費や療養費等の送金を行っている場合も同様に、扶養親族として認められます。
3.年間の合計所得金額が48万円以下であること
年間の合計所得金額が48万円以下であること(給与所得のみの場合は給与収入が年間103万円以下)となります。
基礎控除額は一律で48万円なので、所得が48万円であれば、課税所得が0円になります。
給与のみの場合に、103万円以下となるのは、基礎控除48万円+給与所得控除55万円で控除額の合計が103万円となるためとです。
また、扶養親族の対象となる人が、年金をもらっている場合には、年金の受給額についても考える必要が出あります。
公的年金は雑所得に含まれるので、年金の収入額から公的年金等控除額を引いて計算します。
公的年金等控除額は、年齢や公的年金の収入額によって控除額が異なります。以下に、控除が受けられる年金収入額を記載します。
65歳未満の場合
受け取る年金額が108万円以下のときは、公的年金等控除額が60万円となるので、これを差し引くと所得金額は48万円以下となり、扶養控除が適用されます。
65歳以上の場合
受け取る年金額が158万円以下のときは、公的年金等控除額が110万円となるので、これを差し引くと所得金額は48万円(95万円)以下となり、扶養控除が適用されます。
4.青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと
書かれていることは難しいですが、わかりやすくいうと、納税者が個人事業主の場合に、そこで従業員として給料を得ていない場合という意味です。
それぞれの扶養親族の扶養控除の金額は?
それでは、それぞれの扶養親族の控除額について見ていきたいと思います。
配偶者は、所得税法上の扶養控除ではありませんが、配偶者控除、配偶者特別控除についても、あわせて確認しておきたいと思います。
配偶者控除の控除額は?
年間所得48万円以下の配偶者がいる場合には、納税者の所得に応じて、最大38万円(12月31日時点で70歳以上の場合は最大48万円)が控除されます。
納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下である必要があります。
配偶者特別控除の控除額は?
年間所得48万円を超え、201万6千円未満の配偶者がいる場合に、最大38万円までの所得控除が受けられます。
扶養控除の控除額は?
扶養控除の控除額は以下となります。
年齢 | 控除額 | |
一般の控除対象扶養家族 | 16歳以上 | 38万円 |
特定扶養親族 | 19歳以上23歳未満 | 63万円 |
非同居老人扶養親族 | 70歳以上 | 48万円 |
同居老人扶養親族 | 58万円 |
一般の控除対象扶養家族
平成23年からは、児童手当(旧:子ども手当)が支給されることになり、16歳未満の子供は、扶養控除の対象ではなくなりました。
16歳以上の一般の控除対象扶養家族の控除額は、38万円となります。
特定扶養親族
特定扶養親族とは、控除対象扶養親族のうち、19歳以上23歳未満の人をいいます。
この場合の控除額は、63万円となります。
非同居老人扶養親族
その年12月31日現在の年齢が70歳以上の人で、同居していない場合には、1人につき48万円が控除されます。
同居老人扶養親族
その年12月31日現在の年齢が70歳以上の人で、本人または配偶者のいずれかとの同居をしている人は58万円が控除されます。
所得税法上の扶養親族の範囲を正しく理解する
年収が増えれば触れるほど、それにともなって、所得税の金額は上がっていきます。
そうすると、せっかく、年収が上がっても、引かれるものが増えてしまい、結局、手取り額はあまり増えないなんてことになると、働き損のように感じてしまいますよね(^^;
そのようにならないためには、少しでも、所得税において、控除されるようにすることが重要です。
そのためには、所得控除の対象となるものを把握しておくことや、所得税法上の扶養親族の範囲を正しく理解することは、税金の面で、メリットを受けることにつながります。
このように、制度を正しく理解し、税金の面で損をしないようにしましょう!